お知らせ: 2011年4月アーカイブ

南アルプスの稜線がくっきりと見える雲一つない晴天のもと、平成23年度上田女子短期大学入学式が厳かに行われました。幼児教育学科108名・総合文化学科64名・加えて研究生2名合計174名の新入生を迎える事が出来ました。

学長の式辞にもあったように、この大変な時に入学式を例年と変わらずに行う事が出来るのは極めて恵まれていると思います。普段通り、当たり前の事が出来る事がどんなに幸せなのかをこの機会に改めて噛みしめたいと思います。

『初心忘れべからず』と言う言葉をよく耳にすると思いますが、当たり前ですがこの時間はもう戻っては来ません。今日のこのすがずしい気持ちを大切に、有意義な2年間を過ごしてもらえたらと教職員全員が願っています。

次に、本学学長の式辞をご紹介します。

                                                                                2011年4月6日

          上田女子短期大学平成23年度入学式 学長辞

今、式辞を申し上げるに当たって、この大変なときに入学式を例年と変わらず行うことができるのは極めて恵まれていると言ってよい、被災地では授業再開どころかその存続すら目処が立たない学校が数多ある中で、本学のように普段通り、当たり前のことが当たり前にできる、まずはそのことを感謝しましょう。この度の東日本大震災、その直後に起きた長野県北部地震に加え各地で起きた強い地震で亡くなられた沢山の方々の無念を思い、その御冥福を一緒にお祈りしましょう。被災され、苦難の真っ只中におられる被災者の方々には心から同情と激励を、そして救助や支援、復興に身を賭して当たっておられるこれも多数の方々には尊敬と感謝、連帯の気持ちを、共に捧げたいと存じます。特に被災した人々の中に、御自身、被災者でありながら他の被災者の救援や激励に身を割いている人も沢山おられますが、まことに不幸な出来事が起きたその中で、この様に自らを犠牲にして他人のために身を捧げている人々の存在を目の当たりにできたことは、現在の日本社会で一部に見られるニヒリスティックな世相、風潮や人間不信、あるいは利己主義というものにも増して、人間の本性には崇高なものがあるということの確認と、人間というものへの信頼を取り戻すことにもなりました。世界中から日本に対する賞賛の声があがっている所以であります。本学の二年生やこの三月に卒業した皆様の先輩たちも地震の直後に全く自発的に募金、支援活動を立ち上げてくれました。

本日、今、この場において皆で一斉に黙祷を捧げるということは致しませんが、本日のどこかで、皆様があらためて入学の喜びを一人になってかみしめるその様な時、静寂な時間を選んで、亡くなられた方、不自由を強いられている方々との気持ちを分かち合い、その方々の為に祈るひとときを持っていただくことをお願い致します。

日本にとって混乱と困難は長く、想像を絶するものがあると思う一方で、必ず、復興はなるという希望を新たに我が同胞は持たせてくれた、との確信と感謝を基に私の式辞を始めさせていただきます。

新入生の皆様、上田女子短期大学への御入学おめでとうございます。幼児教育学科108名、総合文化学科64名、加えて研究生2名、合計174名の新入生を迎えて新しい一年がスタ-トします。私たちの大学は大いなる慶び、期待をもって教職員一同、皆様を歓迎致します。

保護者の皆様におかれましても御子様の御入学、特にこれまでに育て上げられたご努力があずかって本日を迎えられたことを心からお祝いと共に感謝申し上げます。

又、本日御列席の来賓の方々におかれましては、日頃より本学を暖かく御支援いただいております上に、新入生の入学を祝うべく御多用中にもかかわりませず御来臨を賜り、まことに有難うございました。重ねて感謝の気持ちを述べさせていただきます。

さて、新入生の皆様はこの入学式に出席し、あらためて希望に満ちた自分を意識すると同時に短期大学とはどういう処だろうかと不安に思っている人もいることでしょう。短期大学での二年間は、皆様にとって生きる術としの専門知識を学び、技能の土台を形作るだけではなく、そもそも人間として人間らしく在るための人格や教養を磨き、身に付けるときでもあります。自分でも信じられないほど精神的にも大きく成長する非常に大事な時期でもあります。

それならば、どの様な人間となるべきか、どの様な人生を送るのか、送りたいのか、それを決めるのはあなた自身です。今から自分を形成するための様々な試行錯誤をすることになるでしょうが、その答を見つけるためには、時間の掛かり方、筋道、全て人によってそれぞれ異なります。中には一生掛かる人もいるのです。

皆さん、上田女子短期大学はその教育理念として建学以来『敬愛、勤勉、聡明』を掲げております。決して派手な言葉ではありませんし、誰でも理解しやすい言葉です。しかし、自らその一つでも達成できたと言える境地になることはたやすいことではありません。人間にとっては結局、これらの陶冶、完成の境地を目指すことが、終生の営みなのでありましょう。忘れないでいただきたいのは、建学の理念、精神というのは、そこで学ぶ人にとって、在学中だけではなく卒業後も指針となってくれる様なものであって欲しいとの思いで受け継がれてきたものですから、皆さんもこれから長い人生で何度も、特に色々迷った時に、この三つの言葉を良く噛みしめていただきたいと思います。

ところで、大学で履修するものには一般教養科目と言われるものと、専門科目と呼ばれるもの、後者の中には将来の自分の職業などに直結する学問、技術などを含むことが多いのですが、大まかにその二つのカテゴリ-に分類されるものがあります。もちろん、同じ科目であってもそれぞれの立場によって、ある人には一般教養であったり、又、他の人にとっては専門科目であったりします。要はそれだけに、かなり高度なレベルで学問をすることになる訳ですから、自らが学び修得する強い熱意を持てば、それなりに理解出来るものです。又、理解出来れば一層面白く、興味も更に深くなりますので、決して恐れるべきではありません。

高校時代まではほとんどが解、正解が一つの問題を解く、言い換えれば必ず答のある問題が与えられ、それに辿りつくのが勉強というものの在り方であつたとも言えましょうが、現実の世界、社会においてはむしろ、答がいくつもある、あるいは、正解と呼べるようなものが全く存在しないのかもしれない、・・・人間では理解出来ない、それこそ神のみぞ知る、という問題に直面することも極めて多い。むしろその様な問題の方が実際には多いのだと思います。未知との遭遇と言うことが日常茶飯であります。その様な問題への対処の仕方を学ぶのも大学で学ぶことの意義の一つです。大学では、学問の仕方そのものを学ぶ、学ぶ方法を学ぶ、という言い方も出来ます。あるいは、自ら問題を設定し、それに答が存在するのかどうか挑戦していく、その様な取り組みが大いに奨励されるものであることを頭に入れておいて下さい。

初めて経験する事が数多くありますが、焦らずに一つひとつ大切に経験を重ねていって下さい。出会う物事の中には初めの内は苦手だと尻込みする物も有るはずです。しかし、それが本当に苦手で嫌いな物であるかどうかは実際に体験してみなくては分かりません。これからは高校時代までと異なり、自分で選択し、判断する事が多くなってきます。周りの人々も皆様をそういう風に一人の個人、大人として見、又、その様に扱うことになるでしょう。自分で何でも決定出来ることは一見、自由で楽しい事の様に思えますが、それに伴う責任を求められる事になります。しかし、失敗が許されるのも若者の特権です。皆様は大いなる好奇心を持って知らない事にも挑戦して下さい。

短大の二年間というのは、非常に忙しく、慌ただしい。資格をとって卒業する為には、時間をうまくやりくりする必要があります。同時に、勉強だけに埋没しないで、人生を考えたりする時間も、青年ならではのこととして必要です。生活のリズム、余裕を組み込んだリズムを早く作ることをお勧めしますが、先生方や先輩ともよく話し合って下さい。

又、これからは自分の事だけでなく他人の事も思いやる気持ちを持って下さい。自分の事だけではなく周りの人、周りの世界に就いても考える事が出来る、気持ちが及ぶ、それが成長する、大人になるという事の証左でもあります。今回の震災で天皇陛下のメッセ-ジが人々の心を打ったのは、まさにそれが、人を思いやり、被災者の痛みを分かち合うというお気持ちが飾り無く素直に伝わったからでありましょう。よき社会人であるためにはWarm Heart、Cool headの両方を持たなければなりませんが、私においてはWarm heartが人間として最初に来るべきだと思っています。

大学生活を将来のある時振り返って、実りある物だったと言える物にするには、自分が積極的に参加してみる事です。叩けよ、さらば開かれん、というのは聖書の言葉として有名でありますが、叩き方も大切です。寺の鐘は強く撞けば大きく鳴り、弱く撞けば小さな音しか返ってきません。皆さんもそのつもりで色々な事にぶつかってみてはいかがでしょうか。とは言えこれからは、失敗したり、壁に突き当たったりする事も避けられません。

青春時代は思い悩むことも多い。その時には一人で悩まず、友達は勿論、後両親、先生方に相談して下さい。一人で乗り越えられない事も、又、経験者、あるいは年長者でなければ解決出来ない事も有るのですから遠慮する必要はありません。ここにいる私達も、そして皆さんの先輩もそうして大人として存在しているのです。

独学で建築を学び、今や世界にも鳴り響く存在の、或る大家が述懐しています。建築への情熱は有りながら自分は大学にも行かず、しかし、負けないように一年間で大学の教科書を全て読破した。つくづくつらかったのは、ともに学び、意見を交わす友人がいなかったことだ。自分がどこに立っているのか、正しい方向に進んでいるのかさえ分からない。不安と孤独と闘う日々であったと。皆さんには短大でともに学べる幸せを堪能していただきたいと切に願っています。その様な心構えで二年間を過ごしていただけるならば、将来、皆さんが青春時代を振り返った時に、上田女子短期大学で学ぶことを選択し、決断した今のあなたにきっと感謝することになることを私は信じています。

結びに当たり、御父兄、保護者の皆様に申し上げます。御子様の御入学を心からお祝い申し上げます。本学では建学以来、学生には在学中に相当高度な知識、技術の修得を求め、かつ、それだけにかたよることなく教養を高め、かつ精神面の充実にも配慮した教育を心掛けております。時代として、現在は、必ずしも勉学に集中出来るとは言い難い世相でありますが、大学としの使命を果たすこと、即ち正しい人格のうちに独立した個人を育成し、社会に送り出すという使命に沿って、本学は多数の卒業生を送り出して参りました。教職員は常に学生一人一人の個性を尊重し、状況を把握した上で勉学指導は勿論、生活指導、カウンセリング、その他サポ-トに当たる様に腐心しております。

教育とは勉強したことが消えた後に何が残るかが問題、と喝破された先哲の言葉を思い、大切な御嬢様の教育の質をより以上に向上させる為に、そして次の社会を担ってくれる人間を育てるという期待と負託にこたえる為に、大学が一体となって前進する事が出来ます様、今後とも御理解と御支援をお願い申し上げます。

最後に新入生の皆様に、重ね重ね大歓迎と共にお祝いを申し上げ、これからの学生生活が実り多いものであることをお祈りして私の話を終えることに致します。皆様に期待しています。青春の貴重な時期、充実した学生時代を過ごして下さい。

                                                     (広報室 北澤留里子)

 

 

 

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